
現在、デジタル広告・デジタルマーケティングにおいては、クリックやコンバージョン、CPC、CPAといった、商品の購入やサービスの申込だけを目的とした「パフォーマンス広告」が主流となっています。
しかし、企業が持続的な成長を実現していくためには、顕在層の獲得、既存顧客を大切にしていくと共に、常に新たな潜在顧客層を育成し続けることが重要です。それはナショナルブランドのように既に多くの人に知られているブランドであっても同様で、新たな商品のリリース、リブランディング、他社との差別化による更なる成長など、企業である以上は「ブランディング」と「パフォーマンス」のバランスの取れた活動を続けていくことが不可欠です。
WARC(World Advertising Research Center)の調査によると、パフォーマンス広告への投資を過剰に行うことにより、ROIを最大50%低下させる可能性がある一方、ブランディング広告への投資を40-60%行うことで、ROIを最大100%、平均で90%向上させることができると報告されています。日本のデジタル広告におけるブランディングへの投資はおよそ10%程度とみられており、文化や言語、市場特性等の違いはあるものの、米国の30-40%と比較すると低めに推移しています。事業会社として、近々の収益に繋がる活動(獲得)は欠かせませんが、同時に広く潜在層を見つけていく活動も事業を継続していく上では止めるべきではありません。

今回は「そもそもなぜブランディング活動を行う必要があるのか」、3つのポイントについてお伝えします。
1. ブランド認知・ブランドへの好意は購買意思決定に不可欠
商品を購入する際、よく知らないメーカーのものよりも、よく知っているブランドの方が購入意欲は自然と高くなります。安心感、信頼、興味、憧れなどさまざまな心理的要素が働きますが、まずはそのブランドを認知している、または好感を持っていることが前提となります。
実際に、Macromillが2024年に行なった調査で、認知率*1 が1ポイント上がる毎に購入率は0.3%上昇、好感度*2 が1ポイント上がる毎に同じく購入率が0.3%上昇することが分かっています。
認知率を高める対象は、ブランドが置かれているステージや提供する商品・サービスにより異なりますが、ブランド名、商品やサービスの内容、クオリティや技術力、信頼を後押しするブランドの歴史やアフターサポートなど、自社の独自性や強みをきっかけとして効果的にプロモーションし、認知率と好感度を高めていくことが購買層拡大の鍵となります。
*1認知率: 調査対象のうち、ブランド名称を「よく知っている」と回答した人の割合
*2好感度: ブランド名称を認知している人のうち、ブランドにたいして「(とても)好感を持っている」と回答した人の割合

2. 収益の安定化に貢献する継続的なブランディング活動
ブランドの認知度が高くない段階におけるブランディング広告の重要性は理解に難くないですが、既に市場での認知を獲得できている段階においても、ブランディング活動は重要な役目を果たします。
「収益の安定 = とにかく目先の売上を増やす!」と考えがちですが(もちろん間違ってはいませんが)、一般的によく知られているブランドであっても、広告(主要なマス広告)を1年停止したところ売上が16%低下したというオーストラリアの調査結果があります。
ブランド規模や状況により売上の低下速度は異なりますが、ブランディング広告を止めてしまうことは、それまで築いてきた認知を結果として無駄にすることになります。ブランドは、消費者が購入時に選んでくれる状態を常に保っておく為に、継続的に自社ブランドと触れる機会(=タッチポイント)を作り続けていくべきだと考えます。
ただし、この継続的なタッチポイントの醸成を度が過ぎたプロモーションで行なってしまうと、逆効果になってしまうと思っています。お気に入りの番組を見ていて、同じCMが何度も何度も流れてくるのにイライラしたことありませんか?こうした活動は認知度は上がる一方で、好感度が下がってしまうという若干の危険性も孕んでいます。
よって、継続的なブランディング活動では、訴求内容に合わせて、利用媒体を分散させバランスの良いメディアプランを組むことが大切です。
3. 競合との差別化
ユーザーが購買の意思決定時に重視する点として、Medallia社がアメリカで行った調査によると、「支払う金額と商品の価値が見合っていること」という判断基準が「価格の安さ」を抑えて最も多かったとのこと。つまり、正しくユーザーにブランディングを行うことができていれば、購入意思決定の場でその優位性が発揮される可能性が高くなるのです。
これは無駄な価格競争に飲み込まれにくくなることを意味します。会社の規模に関わらず、価格優位性だけで勝負しなければならないケースは避けたいものです。もちろん、戦略の一部として価格競争に打って出るケースもあるかもしれませんが、ブランドとして価格優位性だけを全面に押し出し続けることは健全とは言えません。正しく競合との差別化を図っていく為にも、ブランド特有の要素や会社の特徴など、ブランディング広告を活用して、ユーザーの認知率と好意度を継続的に高めていきましょう。
「エビングハウスの忘却曲線」で証明されていますが、人は忘れる生き物であり、「繰り返し学習の必要性」を幼少期から何度も教えられてきました。商品の発売時だけプロモーションを行っても、持続的かつ最大の効果は発揮できません。また価格訴求に特化した獲得目的のプロモーションだけでは、訴求対象となるユーザーが狭まっていき、冒頭でご紹介したように、全体のROIを低下させる要因となってしまいます。
継続的にブランド、そして商品やサービスのブランディングを効率よく行い、事業成長を図っていきましょう。

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